消化器内科takoitaのメモ

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Barrett食道の病態と診断

 
  • 病態
胃酸や胆汁の逆流により下部食道の扁平上皮が円柱上皮に置換された状態(円柱上皮化生)。

 

 
最大のリスクファクターはGERD。
その他には、高齢・男性・白色人種・肥満・H.pylori感染(除菌後)・喫煙・食物(亜硝酸塩含有・高脂肪食)などがある。
 
  • 症状
症状は特にはない。
 
逆流性食道炎を合併することが多く、合併する場合は逆流症状がある。
 
  • 診断
EGJ(食道胃接合部)とSCJ(粘膜境界)に挟まれた部分がBarrett粘膜。
 
円柱上皮の長さが3cm以上をLSBE、3cm未満をSSBEとする。
 
日本では、内視鏡的に食道下部柵状血管の下端がEGJとされる。
しかし、胃食道逆流症を伴う症例やLSBEなどでは、柵状血管の観察が困難なことがあり、欧米の定義に準じて胃の縦走ヒダ上端をEGJとせざるを得ない場合がある。
 
吸気法(吸気し息をこらえる)にて、縦隔内が陰圧となり、腹腔内圧との圧較差によってEGJが胸腔側へ移動した後静止するため、EGJの視野が安定し観察も容易となる。
 
病理組織学的な特徴は、扁平上皮島と固有食道腺と粘膜筋板の2層化である。
Barrett食道内の扁平上皮島は、ほぼ全て固有食道腺導管の開口部に連続している。
円柱上皮で被覆された固有粘膜層の導管もしくは粘膜下層の固有食道腺の存在は、その領域が以前扁平上皮で被覆された食道であったことを意味する。
粘膜筋板の2層化は、Barrett食道に特徴的で、表層の粘膜筋板(SMM)が食道粘膜の円柱上皮化に伴って形成された新生筋板で、本来の粘膜筋板が深層の粘膜筋板(DMM)である。
 
  • Barrett腺癌発見のポイント
Barrett腺癌の発見は容易でないことが多い。
ポイントは、①色調変化②凹凸不整③表面性状変化(①②の領域性に加えて)④柵状血管の消失、が大切。
 
 
 
 
参考
消化器内科グリーンノート
内視鏡診断マル秘ノート