異所性皮脂腺・食道皮脂腺の病態と診断
- 病態
外胚葉由来の臓器に時折みられる異所性の皮脂腺が、内胚葉由来の食道に時折みられるもの。
通常は外胚葉由来の口唇・口腔・唾液腺・包皮・陰唇などにみられる。
食道は内胚葉由来のためまれ(0.15%)。
中部食道ないし下部食道に好発する。
悪性化しないため治療は不要。
通常観察で、多発する黄色調扁平隆起として観察され、全体としてやや盛り上がって観察される。
典型的なものは3~8mm大で大小不同の花弁状あるいは敷石状の扁平隆起(腺房部分)が集簇する。
単発のこともある。
近接すると中央に白色突起(導管部分)が観察されるのが特徴的。
病変境界はやや不明瞭であり、白色突起とあわせて黄色腫との鑑別に有用。
NBI拡大観察では、病変表層のIPCLには変化は認めない。
また、白色突起周囲を取り囲むように横走する環状/多重血管を認めるが、拡張・蛇行・口径不同などの不正所見は認めない。
- 病理
粘膜固有層の腺房と食道内腔への外分泌導管により形成されている。
成熟皮脂腺。
粘膜固有層内に明るい好酸球性の細胞集団として、表層扁平上皮に接する又は島状に存在する。
主座は重層扁平上皮下の粘膜固有層内にあり、病変表層のIPCLにはに変化がない点や病変境界がやや不明瞭である点はこれにて説明がつく。
参考
上部消化管内視鏡診断アトラス
症例で身につける消化器内視鏡シリーズ 食道・胃腫瘍診断
胃と腸 所見用語集2017
胃と腸 55(3)2020