消化器内科takoitaのメモ

内科医takoitaのメモ

消化器内科後期研修医のメモ用ブログ 自分用のまとめなので記事が重複している場合があります。なにかご指摘や追加の情報あればご連絡ください。

若年性ポリープの病態と診断

若年性ポリープ(juvenile polyp)

  • 病態

非腫瘍性(過誤腫性)のポリープ。

幼少期や学童期に多く見られるが、成人にも少なからず認められる。

通常は単発だが、時に数個や、まれに遺伝性の若年性ポリポーシスが認められる。

直腸とS状結腸に好発し、大きさは5mm~2cm程度が多い。小さなものは無茎性、大きくなると亜有茎~有茎性になってくる。

ポリペクトミー可能な良性病変がほとんどで、遺伝性若年性ポリーポーシスを除けば悪性化もきわめてまれである。

 

通常内視鏡では、発赤の強い表面平滑な球状のポリープとして観察される。

表面は浅いびらんや薄い白苔を伴っているものが多く、まれに表面が凹凸不整なものや陥凹している病変もある。

白苔のない病変は野イチゴ様、不整で白苔の多いものが腐れイチゴ様、とも表現される。

また、周囲粘膜に白斑を伴うこともある。

拡大観察では、腺腫に特徴的なⅢL型やⅣ型pitは認められず、Ⅰ型pitに類似した大小不同の類円形から歪んだ形のpitが疎に観察されることが多い。

 

  • 病理

病理学的に過誤腫に分類される。

異型の乏しい腺管の嚢胞状拡張と粘膜筋板の欠如が特徴的。

間質の浮腫・炎症細胞浸潤と毛細血管の増生拡張なども伴っている。

 

 

参考

下部消化管内視鏡診断アトラス

食道乳頭腫の病態と診断

  • 病態

重曹扁平上皮が外方性もしくは内方性に乳頭状増殖を示す腫瘍類似病変であり、反応性の病変。

胸部中部~下部食道に好発する。

基本的には良性の腫瘍様病変。乳頭腫内の一部に上皮内癌やdysplasiaを伴っていた報告もあり、定期的な経過観察は必要である。

 

①桑実状の凹凸を有する基部の狭い小さい隆起で水中観察下にてイソギンチャク様

②透明感のある白色調で丈の低い扁平隆起

③やや発赤調で分葉傾向のある隆起、として観察される。

①・②の頻度が高く、③は稀である。

②は0-Ⅱa型食道癌との鑑別が必要である。②はヨード染色にて淡染である。

・画像

 

https://gastro.igaku-shoin.co.jp/words/食道良性腫瘍

 

  • 病理

3つの亜型に分類される。

①exophytic type(外方型)

中心に繊維血管性間質を伴い、外側へ向かう乳頭状増殖。

②endophytic type(内方型)

滑らかな表面隆起を有し、内反性の乳頭状増殖。

③spiked type(スパイク型)

スパイク状の表面構造で、顆粒層を伴う顕著な角化を有する。

 

 

参考

上部消化管内視鏡診断アトラス

症例で身につける消化器内視鏡シリーズ 食道・胃腫瘍診断

胃と腸 所見用語集2017

胃と腸 55(3)2020

異所性皮脂腺・食道皮脂腺の病態と診断

  • 病態

外胚葉由来の臓器に時折みられる異所性の皮脂腺が、内胚葉由来の食道に時折みられるもの。

通常は外胚葉由来の口唇・口腔・唾液腺・包皮・陰唇などにみられる。

食道は内胚葉由来のためまれ(0.15%)。

中部食道ないし下部食道に好発する。

悪性化しないため治療は不要。

 

通常観察で、多発する黄色調扁平隆起として観察され、全体としてやや盛り上がって観察される。

典型的なものは3~8mm大で大小不同の花弁状あるいは敷石状の扁平隆起(腺房部分)が集簇する。

単発のこともある。

近接すると中央に白色突起(導管部分)が観察されるのが特徴的。

病変境界はやや不明瞭であり、白色突起とあわせて黄色腫との鑑別に有用。

NBI拡大観察では、病変表層のIPCLには変化は認めない。

また、白色突起周囲を取り囲むように横走する環状/多重血管を認めるが、拡張・蛇行・口径不同などの不正所見は認めない。

 

  • 病理

粘膜固有層の腺房と食道内腔への外分泌導管により形成されている。

成熟皮脂腺。

粘膜固有層内に明るい好酸球性の細胞集団として、表層扁平上皮に接する又は島状に存在する。

主座は重層扁平上皮下の粘膜固有層内にあり、病変表層のIPCLにはに変化がない点や病変境界がやや不明瞭である点はこれにて説明がつく。

 

 

参考

上部消化管内視鏡診断アトラス

症例で身につける消化器内視鏡シリーズ 食道・胃腫瘍診断

胃と腸 所見用語集2017

胃と腸 55(3)2020

下部内視鏡スコープの違い

PCF

・PCF-H290ZL/I

視野角:170°/85°

先端部外経:11.7mm

軟性部外経:11.8mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:受動湾曲、硬度可変あり

・PCF-H290TL/I

視野角:140°

先端部外経:9.8mm

軟性部外経:10.5mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up210° Down180° Right160° Left160°

その他:短湾曲搭載。硬度可変あり

・PCF-H290L/I

視野角:170°

先端部外経:11.7mm

軟性部外経:11.5mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:受動湾曲、硬度可変あり

・PCF-H290DL/I

視野角:170°

先端部外経:11.7mm

軟性部外経:11.8mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:内視鏡挿入形状観測システムUPD-3対応

・PCF-Q260AZI

視野角:140°/60°

先端部外経:11.7mm

軟性部外経:11.8mm

有効長:1330mm

全長:1655mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:

・PCF-Q260AI

視野角:140°

先端部外経:11.3mm

軟性部外経:11.3mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:

 

CF

・CF-HQ290ZL/I

視野角:170°/90°

先端部外経:13.2mm

軟性部外経:12.8mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.7mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:受動湾曲、硬度可変あり

・CF-HQ290L/I

視野角:170°/160°

先端部外経:13.2mm

軟性部外経:12.8mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.7mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:デュアルフォーカスあり

・CF-H290L/I

視野角:170°

先端部外経:12.2mm

軟性部外経:12.0mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:受動湾曲、硬度可変あり

・CF-H260AZL/I

視野角:140°/80°

先端部外経:13.6mm

軟性部外経:12.9mm

有効長:L:1680mm/I:1330mm

全長:L:2005mm/I:1655mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up180° Down180° Right160° Left160°

その他:硬度可変あり

・GIF-H

視野角:°

先端部外経:mm

軟性部外経:mm

有効長:mm

全長:mm

チャンネル経:mm

湾曲角:Up° Down° Right° Left°

その他:

 

 

参考

https://s1dad092b3890b9df.jimcontent.com/download/version/1493087638/module/10975255060/name/内視鏡パンフレット.pdf

上部内視鏡スコープの違い

汎用

・GIF-H290

視野角:140°

先端部外経:8.9mm

軟性部外経:8.9mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.8mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

・GIF-H290T

視野角:140°

先端部外経:9.8mm

軟性部外経:9.9mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up210° Down120° Right100° Left100°

その他:ダウンが通常よりも効く

・GIF-H260

視野角:140°

先端部外経:9.8mm

軟性部外経:9.5mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.8mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:

・GIF-Q260

視野角:140°

先端部外経:9.2mm

軟性部外経:9.2mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.8mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:

・GIF-Q260J

視野角:140°

先端部外経:9.9mm

軟性部外経:9.9mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:3.2mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:

・GIF-HQ290

視野角:140°/140°

先端部外経:10.2mm

軟性部外経:9.9mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.8mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:ハイビジョンを上回るHQ画質。デュアルフォーカス可能。

・GIF-PQ260

視野角:140°

先端部外経:7.9mm

軟性部外経:7.7mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.0mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:汎用の中ではかなり細い。

・GIF-2TQ260M

視野角:140°

先端部外経:11.7mm

軟性部外経:11.7mm

有効長:1030mm

全長:1395mm

チャンネル経:3.2/3.2mm

湾曲角:Up210° Down180° Right100° Left100°

その他:マルチベンディングで湾曲部が2箇所ある。また、鉗子口も2つある。

 

拡大

・GIF-H290Z

視野角:140°/95°

先端部外経:9.9mm

軟性部外経:9.6mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.8mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:

・GIF-H260Z

視野角:140°/75°

先端部外経:10.8mm

軟性部外経:10.5mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.8mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:

・GIF-H290EC

視野角:140°/95°

先端部外経:9.7mm

軟性部外経:9.6mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.2mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:最大520倍の超拡大内視鏡。生体内細胞観察が可能。

 

細径

・GIF-XP290N

視野角:140°

先端部外経:5.4mm

軟性部外経:5.8mm

有効長:1100mm

全長:1420mm

チャンネル経:2.2mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:

・GIF-XP260

視野角:120°

先端部外経:5.0mm

軟性部外経:6.5mm

有効長:1030mm

全長:1350mm

チャンネル経:2.0mm

湾曲角:Up210° Down90° Right100° Left100°

その他:

・GIF-H

視野角:°

先端部外経:mm

軟性部外経:mm

有効長:mm

全長:mm

チャンネル経:mm

湾曲角:Up° Down° Right° Left°

その他:

 

 

参考

https://s1dad092b3890b9df.jimcontent.com/download/version/1493087638/module/10975255060/name/内視鏡パンフレット.pdf

Clostridium difficile関連下痢症(CDAD)

CD腸炎、Clostridium difficile腸炎

  • 概要

CDADは「下痢などの症状を呈し糞便検査でC.difficile毒素ないし、毒素産生性のC.difficileが陽性、もしくは内視鏡的に偽膜性腸炎の所見を認めるもの」と定義される。

C.difficileは芽胞を形成する偏性嫌気性のグラム陽性桿菌であり、そのうち約30%の毒素産生株がCDADの原因となる。

病原性はtoxinA、toxinB、binary toxinの3種類の毒素に由来する。

感染は芽胞を介して経口感染により生じる。芽胞は通常の室内環境において数ヶ月から数年存在する。胃酸に強く容易に腸管に到達し、嘲笑で芽胞が発育し無症候性に腸内細菌叢集落を形成する。

正常細菌叢が整っている環境下では病原性を示すことはないが、抗菌薬の使用などで腸内細菌叢が撹乱されると菌交代現象が起こり、多くの抗菌薬に耐性を有するC.difficileが大腸内で増殖し腸炎を発症する。

 

  • 分類

 

  • 症状

臨床症状は、水様性下痢、腹痛、発熱が多い。血便がみられることもある。

必ずしも下痢を伴うわけではないことに注意する。

特に劇症型では高度の炎症による腸管麻痺でむしろ便秘気味になることに注意。

低血圧、頻脈、腹膜刺激症状などが伴う場合は積極的に劇症型を疑う。

 

  • 診断

便中にC.difficile毒素が検出されれば確定する。

現在toxinA・toxinBの両方を検出するキットが広く使用されているが、その感度は60-80%とされる。陰性であってもCDADを否定はできない。

C.difficile高原であるglutamate dehydrogenase(GDH)抗原を検出するキットもある。

GDH抗原は毒素より感度が高いが、それでも約10%の偽陰性を認める。

また、GDH抗原陽性でトキシン陰性の場合は、病原性のないトキシン非生産株を検出している可能性があり、結果の解釈は臨床症状や他の検査など総合的に判断する必要がある。

偽膜性腸炎の診断には下部消化管内視鏡検査が有用である。

偽膜はS状結腸から直腸に好発し、その特徴的所見から診断は容易である。しかし、偽膜を形成するものは全体の10%に過ぎず、偽膜がない事でC.difficile感染症を否定はできない。

 

  • 治療

重症度に応じて治療方針を決定する。

まず、使用中の抗生剤を可能な限り中止するのが原則。

軽症例ではこれで改善を認めることもあるが、効果がない場合は薬物治療の適応となる。

使用される薬剤はメトロニダゾール(MNZ)とバンコマイシン(VCM)の2剤。

ダフクリアが新規薬剤として選択肢。

軽症から中等症では治療効果に差はないが、安価でありVCM耐性腸球菌発生のリスクがあることを考慮し、MNZ内服が第一選択となる。

重症例や再発例ではVCM内服が推奨される。

重症例や劇症例ではVCMとMNZ併用療法が考慮されるが、VCM単剤と比較して明らかな有用性は報告されていない。

再発難治例に対する糞便移植法の有効性は報告されているが、日本ではまだコンセンサスが得られていない。

なお、トキシン検査は治療開始後も50%で6週間以上陽性が持続するため、治療効果判定には使用しづらい。

処方例:

・初発かつ中等症まで

①第一選択

フラジール250mg6T分3 10-14日間 内服

フラジール250mg4T分4 10-14日間 内服

アネメトロ500mg*3回/日 10-14日間 点滴静注(内服困難時)

②第二選択(フラジール使用できない症例)

バンコマイシン0.125g*4回/日 内服 10-14日間

・1回目の再発

中等症までであれば初回と同様の治療

・重症または2回以上の再発

バンコマイシン0.125g*4回/日 内服 10-14日間

治療に反応しない場合

バンコマイシン0.25-0.5g*4回/日 内服 10-14日間

注腸を行う場合

バンコマイシン0.5g+生食500-1000ml/回*4回/日 注腸

※新規薬剤

・bezlotoxumab(ジーンプラバ®)

toxinBを補足する抗体医薬。再発抑制を適応とする。

toxinBを中和するといわれる。

繰り返し再発する様な症例が良い適応か。基準は添付文書に書いている。

適切なC.difficile治療を行いながら10mg/kgを単回点滴静注する。

薬価は33万円もする。

・フィダキソマイシン(ダフクリア®)

適応は、フィダキソマイシンに感性のクロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)。

C. difficileをはじめとする一部のグラム陽性菌に抗菌活性を示し、ほとんどのグラム陰性菌には抗菌活性を示さないなど抗菌スペクトルが狭く、消化管吸収もほとんどなく、腸管内のみで作用する特徴をもっている。特に、C. difficileに抗菌的に作用するほか、芽胞形成や毒素産生を抑制する。

投与期間は原則10日間。

その他

プロバイオティクスは実はまだエビデンスが不確実。

 

 

参考

消化器疾患最新の治療2019-2020

自己免疫性胃炎の病態と診断

自己免疫性胃炎(autoimune gastritis;AIG)、A型胃炎ともいう。

  • 病態

壁細胞に対する自己抗体(抗胃壁細胞抗体)が産生されるために壁細胞が破壊され無酸となり、negative feedback mechanismにより高ガストリン血症を呈する病態。

形態的には胃体部を中心とした萎縮性胃炎で、前庭部には萎縮は認めないか軽度である。

H.pyloriによる胃前庭部を中心とした萎縮性胃炎とは形態が異なる。

血中に高率に抗胃壁細胞抗体や抗内因子抗体などの自己胃抗体を認め、ビタミンB12や鉄の吸収障害を来すと貧血を発症する。

AIGのため、胃壁細胞で産生される内因子の分泌低下によりビタミンB12が欠乏し、巨赤芽球性貧血を発症したものを悪性貧血と呼ぶ。

AIG診断の意義は、貧血の原因疾患となりうるとともに、胃体部の高度萎縮のため胃癌発生の高リスク群であり、さらに高ガストリン血症を伴うため、胃NETの合併率が高いことにある。

AIG甲状腺膵臓など胃外の腺組織の自己免疫疾患と高率に合併する。

また、他部位の悪性腫瘍の発生率が高いことが指摘されている。

 

胃体部の高度萎縮を認め、前庭部には萎縮を認めないのが典型例。

典型例では、小弯・大弯に均等な萎縮所見がみられるが、送気不足では大弯の高度萎縮に気付きにくい。

ただし、胃前庭部まで萎縮が及んだり、蠕動や胆汁逆流の修飾を受けたり、必ずしも健常でない場合も多く、一筋縄ではいかない。

 

  • 病理組織学的所見

壁細胞の萎縮、腸上皮化生、内分泌細胞微小胞巣(ECM)など。

 

  • 診断

診断法は現時点では定まったものはなく、自己抗体や特徴的な病理像を組み合わせて行われているのが現状である。

抗壁細胞抗体、抗内因子抗体、血清ガストリンの測定などを用いる。

抗壁細胞抗体陽性、抗ガストリン血症、無酸症、胃体部優位の萎縮性胃炎が診断に関わる。

ただし、胃酸分泌の測定は現在刺激薬のガストリンが国内で生産されていないため行えず、血清ペプシノゲンの測定か、胃生検組織による評価で診断する。

 

  • 胃神経内分泌腫瘍について

A型胃炎は胃NETの発生母地となりうる。

胃NETはその発生背景の相違により

Ⅰ型:萎縮性胃炎に合併する胃NET

Ⅱ型:多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1型)/Zollinger-Ellison症候群に合併する胃NET

Ⅲ型:散発性胃NET

Ⅰ型Ⅱ型はECL細胞由来の腫瘍で、高ガストリン血症を伴い小型で多発性であり、予後が良い。

3型は、高ガストリン血症がなく単発で大きく予後が悪い。

 

 

参考

消化器疾患診療のすべて

胃と腸 54(7)2019

Brunner腺過形成の病態と診断

  • 病態

Brunner腺は十二指腸粘膜深層から粘膜下層に存在する外分泌腺。

球部でとくに発達し、肛門則にいくほど小さく減少する。

過形成は正常なBrunner腺と比較しても異型のない腺組織の増殖性病変であり、平滑筋隔壁により分葉構造を呈するBrunner腺の結節性増生から形成されている。

 

無茎ないしは有茎性の粘膜下腫瘍様の形態を取る事が多い。

約10%には腺開口部を認める。

 

  • 治療

通常は経過観察。

出血例に対しては内視鏡治療の報告もある。

 

 

参考

十二指腸内視鏡ATLAS

十二指腸リンパ管拡張の病態と診断

  • 病態

リンパ流のうっ滞により腸管粘膜や腸間膜におけるリンパ管に拡張をきたした状態。

うっ滞によりリンパ液は乳び性となり、乳びの中には蛋白、脂肪、リンパ球が含まれる。

健常人でも脂肪摂取後にみられる事もあり、病的意義をもたない場合も多い。

一方、リンパ管内圧の上昇により、リンパ管壁が破綻し、蛋白を含むリンパ液が腸管内へ漏出すると、吸収不全や低蛋白血症を起こす。

 

うっ滞したリンパ液を反映し、散布性白点や白色絨毛、白色小石状所見を呈する。

粘膜上皮に異常がないため、拡大観察では均一な絨毛辺縁上皮に囲まれた乳び性のリンパ液が確認される。

また、粘膜層表層のループ状に蛇行した血管が乳びの白色とコントラストをもって観察される。

 

 

参考

十二指腸内視鏡ATLAS

原発性硬化性胆管炎(PSC)の診断と治療

primary sclerosing cholangitis

  • 病態

肝内外の胆管に多発性・びまん性の狭窄が生じ、胆汁うっ滞を来す慢性肝疾患。

潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の合併率が高く、腸管局所の炎症ないし腸内細菌叢の病因への関与が推定されている。

診断時年齢分布は2峰性を呈し、若年層では 高率に炎症性腸疾患を合併する。

胆管炎、AIDSの胆管障害、胆管悪性腫瘍(PSC診断後及び早期癌は例外)、胆道の手術や外傷、総胆管結石、先天性胆道異常、腐食性硬化性胆管炎、胆管の虚血性狭窄、floxuridine動注による胆管障害や狭窄に伴うものは、2次性硬化性胆管炎として除外される。

また、自己免疫性膵炎に伴うものを含めて、IgG4関連硬化性胆管炎も除外される。

 

  • 症状

黄疸が28%に、掻痒感が16%に認められている。最終的に肝硬変へ至る。

2015年全国調査によると、全体の62%が診断時無症状。

診断後短期間で悪化し肝不全に陥る症例や胆道癌を併発する症例がある一方で、長期間安定している症例も存在する。

そのため、長期経過にはかなり幅がある。

 

  • 診断

・診断基準(2017年ガイドライン)

※IgG4関連硬化性胆管炎、発症の原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎、胆管がんなどの悪性腫瘍を除外することが必要。

・胆道所見

病理像は特徴的像を呈する頻度が低く、診断には肝生検よりも胆道造影所見が重要である。

胆道造影所見は、数珠状所見(beaded apperance)、剪定状所見(pruned tree apperance)、帯状狭窄(band-like stricture)などが特徴的。

その他、毛羽立ち様所見(shaggy apperance)、憩室様突出(diverticulum-like outpounching)、胆嚢腫大などもみられることがある。

胆道造影の手段にはERCPを選択される事が多いが、診断のみならMRCPを優先すべき。

画像:

・病理所見

病理学的にはonion-skin fibrosis(玉ねぎ状の求心性巣状線維化)が特徴的だが頻度が低い。

胆管周囲の輪状線維化と炎症細胞浸潤をきたす。

典型的所見を示す症例は比較的少ない上、胆道内圧が上昇している場合肝生検によってbiloma(胆汁性仮性嚢胞)など合併症をきたすリスクも無視できないため、small-duct PSCやAIHとのオーバーラップなどを疑う場合を除き肝生検は診断上必要ではない。

 

  • 治療

・ウルソデオキシコール酸(UDCA)

ウルソデオキシコール酸はALPやγ-GTPを低下させるが、予後を改善させるかは不明である。

標準的な用量である 13-15 mg/kg/日投与であれば少なくとも予後を悪化させると いうエビデンスはない。

・ベザフィブラート

UDCAの効果が不十分な患者に対し日本ではしばしば使用される。

酵素の低下など短期的生化学的改善効果を示すことが日本の前向き試験によって示されている。

しかしやはり長期予後の改善効果が明らかではない。

また、PSCに対する投与は適用外使用となる。

内視鏡的治療

dominant stricture(径1.5mm以下の総胆管狭窄、あるいは左右肝管分岐部から2cm以内に存在する径1.0mm以下の肝管狭窄)に対してはバルーン拡張やステント挿入が必要となり、これによって長期予後は改善する。

バルーン拡張とステント挿入のいずれを行うかについては内視鏡医の選択に委ねられている。

・肝移植

進行例では、肝移植が唯一の根治法である。

生体肝移植後のPSC再発率が高い可能性も報告されている。

 

  • 合併症

・炎症性腸疾患

全体の40%にIBDを合併し、若年例では約60%に合併がみられる。

CDよりUCの方が多い。

PSCを合併しないUCと比較して、右側優位、直腸病変の欠如など非典型的な所見を取ることが多く、CD・UCのいずれにもカテゴリーされない非特異的腸炎と診断される症例もある。

結腸癌の合併率がPSC非合併IBDよりも高く、IBD罹患期間が長いほど胆管癌の発症リスクが高いことも報告されている。

また、疾患感受性遺伝子のプロファイルが異なっており、PSC-IBDという独自のカテゴリーとして捉える必要がある。

・胆道癌

PSC患者の胆道癌リスクは400倍ともいわれる。

PSCに合併する胆道癌の早期発見はいまだに困難である。

一般的にPSCは緩徐に進行するため、ALPやBilが急激に変動する、黄疸・発熱・体重減少などの臨床症状が新たに出現するなどの場合には胆道癌の可能性を考えるべきである。

診断後、半年以内に胆道癌と診断された症例が43%、2年以内が89%であり注意が必要。

PSC診断時に黄疸や胆管炎を伴っている場合は、PSCでなく胆道癌による症状の可能性を念頭におく必要がある。

胆道癌の診断には画期的な手技はなく、ERCP下ブラッシング、蛍光in situ hybridization、共焦点レーザー併用、狙撃生検などがある。

各種画像検査、ERCP、管腔内超音波、経口胆道鏡、狙撃生検などを組み合わせる。

 

  • 予後

肝硬変に至るまでPBCのように病理組織学的に、第1期(portal stage)、第2期(periportal stage)、第3期(sepatal stage)、第4期(cirrhosis)の4つの病期に分類される。

高度の非代償性肝硬変(MELDスコアが16点以上など)に進展すると肝移植の適応になるが、難治性掻痒、繰り返す胆道感染、限局性胆管癌の合併でも肝移植が適応となる。

移植の長期予後は比較的良好で、1年、2年、5年生存率はそれぞれ、90%、86%、85%ほどとされる。

 

 

参考

https://www.nanbyou.or.jp/entry/3968

http://www.hepatobiliary.jp/uploads/files/PSC診断基準(日本語版)_2017(1).pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tando/32/2/32_241/_pdf/-char/ja

第106回日本消化器病学会総会ポストグラデュエイトコース

https://www.jsge2020.org/post/data/106pgc_test.pdf