消化器内科takoitaのメモ

内科医takoitaのメモ

消化器内科後期研修医のメモ用ブログ 基本的に自分のまとめのコピペなので記事が重複している場合があります。なにかご指摘や追加の情報あればご連絡ください。

逆流性食道炎の診断と治療

  • 病態
胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)は、胃食道逆流(GER)により引き起こされる食道粘膜障害と煩わしい症状のいずれかまたは両者を引き起こす疾患。
食道粘膜障害を有する「びらん性GERD」と、症状のみを認める「非びらん性GERD」に分類される。
 
胃酸のGERの主なメカニズムは一過性LES弛緩(TLESR)(嚥下とは関係ない突然のLES弛緩)である。健常者でもびらん性GERD患者でも同様である。
重症患者で元々LES圧が低値の患者ではTLESR時以外にも胃酸のGERが生じる。
 
H.pylori感染例では有意にGERD感染率は低い。
 
  • 症状
胸骨裏に灼熱感を自覚する「胸焼け」
胃の中身が食道に逆流するような感覚や口や喉の奥が酸っぱく感じる「呑酸」
食道外症状(非心臓性胸痛、咽頭違和感、慢性咳嗽、喘息発作、心窩部痛)
 
①典型的な胸焼けや呑酸がある
②警告徴候がない
 
上記を満たせば、上部内視鏡検査や食道pH測定を行わず、診断的治療でPPIを開始しても良い。
 
警告徴候とは
・嚥下障害や嚥下時痛
・持続する嘔吐
・吐血や貧血
・体重減少
上記を認めれば必ず内視鏡検査で精査する。
 
  • 診断
びらん性GERDの内視鏡的重症度分類はロサンゼルス分類が有用。
GradeはGERの程度、胸やけの重症度、治療の反応性、PPI維持療法中の再発リスクと相関している。
 
しかし、食道粘膜障害の内視鏡的重症度は自覚症状と必ずしも相関しない。
内視鏡的に重症でも症状が強くない例も存在する。
 
Los Angeles分類
 
GradeM:送気にて下部食道内腔を拡張されても柵状血管の透見が不良で、粘膜の白濁がみられる。
GradeA:5mmを超えない線状の粘膜障害(発赤やびらん、潰瘍)が認められる。
 
 
PPIテスト
PPIを用いて、GER症状の消失の有無で治療的診断を行う。
 
・24時間食道pHモニタリング、24時間食道インピーダンス・pHモニタリング
24時間食道pHモニタリングはLES上縁5cmにpH電極を留置して胃酸のGERを測定する。
ワイヤレス式pHモニタリング(Bravo®)なども登場してきている。
PPIの用量不足の症例が明らかになるとされる。
 
24時間食道インピーダンス・pHモニタリングは2電極間の電気抵抗を測定する。
通過する内容物の性状(液体や気体)、移動する方向(順行と逆流)を判定する。
PPIの用量不足、過敏性食道、機能性胸やけなどに分けられる。
 
  • 治療
PPIが第一選択。(びらん性・非びらん性で同様)
PPIはH2RAや消化管運動機能改善薬よりもQOL改善効果がある。
4週間投与して症状が改善した場合にはGERDと診断してよい。
逆にPPI投与にて症状が改善しない場合でもGERDを除外する事は出来ない。
 
食道粘膜の治癒および寛解の維持はGERDの治療ならびに合併症の予防に最も重要。
食道炎の重症度は酸暴露時間に相関するため、より強力な酸暴露抑制がより速やかな食道炎の治癒と合併症の抑制をもたらす。
 
長期管理の主要目的は、症状のコントロールQOLの改善に加え、合併症(貧血、出血、食道狭窄、Barret食道、食道腺癌)の予防となる。
 
・生活習慣
生活習慣の改善単独では症状改善につながるエビデンスは少ないが、PPI療法下では有効との報告がある。
タバコ、アルコール、臥位が主な増悪因子である。
 
・維持療法
重症のびらん性GERDは維持療法を行わなければ再発はほぼ確実。
常量か半量かは場合による?
 
・オンデマンド療法
PPI初期治療に反応する非びらん性GERDや軽症のびらん性GERDの長期管理はオンデマンド療法を考慮する。
一旦症状が消失した後に胸やけなどの症状が再発した場合に内服を再開し、症状が消失すれば服薬を終了する。患者が必要に応じて服薬する治療法。
 
PPI抵抗性GERD
標準量のPPIを8週間内服しても食道粘膜障害が治癒しない、かつ/またはGERD由来と考えられる逆流症状が十分に改善しない状態。
PPIに加えて消化管運動機能改善薬を併用する事で症状の改善が認められることもある。胃排出遅延も原因のひとつと思われている。
逆流と症状に関連が認められない症例もあり、心理的要因や機能性胸やけ、好酸球性食道炎、食道運動障害などの他疾患である可能性もある。
 
PPI不応例では警告徴候がなくてもPPI増量前に内視鏡検査を行う(食道炎の評価目的とその他の疾患の除外目的)。
重度の粘膜障害を認める場合は1日1回のラベプラゾールを1日2回に増量できる。(ラベプラゾール(パリエット®)が1日2回投与が可能)
また、PPIの種類の変更、モサプリドの追加投与、六君子湯の追加投与、就寝時のH2RA追加投与を考慮する。
 
・外科的治療
PPI抵抗性GERDや長期的な維持投与を要するびらん性GERDに対しては外科的治療も検討する。
 
 
参考
極論で語る消化器内科