消化器内科takoitaのメモ

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食道顆粒細胞腫の診断と治療

  • 病態

顆粒細胞腫は皮膚及び皮下、舌、乳腺に好発するSchwann細胞由来の腫瘍。

 

消化管には約6%の頻度、食道には約2%の頻度で発生する。

食道良性粘膜下腫瘍のうち2番目に多く約5%を占める。

好発部位は中下部食道であり、約90%を占める。

腫瘍径は大部分が20mm以下である。

一般的には良性だが、約1.5~5%で悪性を認めるとする報告もある。

 

  • 症状

無症状例が多い。

嚥下困難や胸痛を認める事が多い。

 

・通常観察

中央がわずかに陥凹した黄色調または白色調隆起。弾性はやや硬。

10mm以下のものでは半球状、丘状の非特異的な形態。

10mm以上の大きさになると、臼歯状所見と表現される特徴的な形態を示し、内視鏡でも比較的診断は容易。

正常上皮に被覆されているが、腫瘍により進展され菲薄化しているためヨード染色では淡染するといわれる。

・EUS

EUSでは、第2/5層から第3/5層の均一(内部不均一?)なやや低エコー域として描出される。

 

  • 病理所見

病理学的特徴は、上皮下の粘膜固有層、粘膜下層、および固有筋層に小型の核を有し、好酸性で顆粒状の細胞質からなる腫瘍細胞の胞巣状、シート状の増殖を認める。

病変の主座は粘膜下層だが、頂部付近では腫瘍組織は上皮直下に密接して粘膜固有層内に膨張性に増殖している。

この組織像が表層上皮の菲薄化や頂部の平定化、軽度の凹みの要因になっている。

PAS染色では、細胞質内の微細顆粒は陽性所見を示す。

免疫染色ではS-100及びNSEに陽性を示す。

 

  • 悪性顆粒細胞腫の基準

Funburg-Smithらの基準

①N/C比が大きい紡錘形の細胞

核分裂像の増加(10視野で2個以上の核分裂像)

③大きな核小体を有する小胞状核

④核の多形性

⑤腫瘍壊死像

⑥紡錘形の腫瘍細胞

3項目以上→悪性

1~2項目→境界型

0項目→良性

免疫染色でp53陽性率が50%以上、Ki-67 index 10%以上のものが悪性と関連があると報告されている。

 

  • 治療方針

明確な基準はない。

10mm以下で症状のないものや増大傾向のない場合は生検のみで経過観察可能と考えられる。

しかし、10mm程度でも悪性例の報告がある事や生検のみでの確定診断率が50%程度である事、内視鏡的治療の安全性をもって普及してきている事から現在20mm以下なら内視鏡的治療が選択されつつある。

 

 

参考

https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/52/8/52_8_1857/_pdf/-char/ja

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mch/20/1/20_57/_pdf