胃異所性膵の病態と診断
迷入膵や副膵ともいわれる。
- 病態
本来の膵臓とは解剖学的にも血行的にも離れて異所性に膵組織が存在するもの。
胃粘膜下腫瘍の中では筋原性腫瘍に次いで多い疾患。
発生部位は、幽門前庭部が88%、体部に12%、胃底部には殆ど見られないとされる。
多くは無症状に経過する。
形状・色調:隆起やdelleを認めることが多い
触診:軟
形態的には消化管内腔に開口する導管の証明は診断の手がかりとなる。
しかし、頻度は24.6~45%と高頻度ではない。
・EUS
主座は第3層〜4層。
境界不明瞭な低エコー膵実質実質のエコー像と同様に、内部に点状あるいは線状の高エコーが散在する所見が特徴的。
また、内部に導管を反映した脈管様エコーや導管が拡張した嚢胞状エコーを認めることもある。
・CT
正常膵臓と同等の造影パターンを示す。
・Heinrichの病理学的分類
Ⅰ型:ラ氏島、腺房細胞、導管の三者を有し、正常の膵組織と同様の構造を有するもの
Ⅱ型:腺房細胞、導管は有するが、ラ氏島を欠くもの
Ⅲ型:主に平滑筋線維の増加と導管のみで、腺房細胞とラ氏島を欠くもの
II型が最も多い
- 治療
基本的には経過観察となる。
頻度は高くないが異所性膵の癌化も報告されている。
①癌組織の主体が胃粘膜面よりむしろ粘膜下層以下に存在するか、または粘膜面にまったく癌組織を認めず粘膜下層以下に癌巣を認めること
②まだ癌化していない迷入膵組織が存在しこれから癌への移行が認められること
の2点に要約されるらしい。
その他、正常膵に発生する全ての病変が異所性膵にも起こりうるとされている。
参考
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjgs1969/40/9/40_9_1576/_pdf/-char/ja