ヘルペス食道炎の診断と治療
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病態
多くは免疫抑制状態で発症するが、基礎疾患のない成人でも稀ながら見られることがある。
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内視鏡所見
発症の時期で所見が異なる。
初期像は、数mm程度の小水疱を形成する。
この上皮が脱落すると辺縁隆起を伴う浅い潰瘍として観察される(volvano-like apperance)。
さらに進行すると融合性の帯状や地図状の潰瘍となる。
潰瘍を縁取る粘膜上皮は白濁化していることが多く、内視鏡的特徴の1つである。
同時に厚い白苔や打ち抜き潰瘍を認めた場合は、食道カンジダ症やサイトメガロウイルス食道炎の混合感染の可能性があるため、注意が必要。
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病理
感染細胞にCowdry A型核内封入体やすりガラス様変化をきたした核内封入体の出現などの特徴がある。
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診断
混合感染のある症例は、内視鏡所見のみでは診断は困難。
生検を行い、免染もおこなった上で診断を決定する。
ウイルスは扁平上皮に存在するため、潰瘍底からの生検は不適当。
潰瘍縁や島状に残った扁平上皮から生検する。
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治療
免疫正常者であれば自然軽快も多いが、症状が強い場合は抗ウイルス薬を内服する。
免疫不全患者では、アシクロビルなどの抗ウイルス薬投与を必要とする。
参考
胃と腸 所見用語集2017
食道・胃腫瘍診断 改訂版