消化器内科takoitaのメモ

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ヨード不染帯について

  • 定義
ヨード不染帯とは、食道内に撒布した際に茶褐色に染色されず黄白色を示す部分。
ヨード染色は、食道粘膜上皮の表層および有棘細胞層内に蓄えられているグリコーゲンとヨウ素が反応する化学反応を利用したもの。

 

したがって、グリコーゲンを産生する正常食道上皮が薄くなれば染色性が低下し淡染帯となり、上皮が欠損したり消失すれば不染帯となる。
 
 
  • ヨード不染帯を示すもの
①病的な粘膜上皮、粘膜癌、扁平上皮内腫瘍、hyperkeratosis、parakeratosis、食道炎などの炎症性変化
②粘膜上皮の欠損(びらん、潰瘍、癌組織の露出部、異所性胃粘膜)
③正常粘膜(萎縮)
などがあげられる。
 
 
  • 意義
病変の拾い上げ、病変の範囲診断、癌と非癌の鑑別
 
 
  • 撒布方法
食道粘膜を水洗し粘液を除去。
撒布チューブを用いて撒布。
15-30秒後に洗浄してから観察する。
 
 
  • 観察
存在部位、大きさ、形、境界の性状を確認。
不染帯か淡染帯か、PCsignやMSsignが陽性かどうかを確認する。
 
存在診断や範囲診断には有用だが、凹凸は目立たなくなるため、癌の深達度診断には適さない。
また、撒布後は上皮が剥離・脱落し、再生上皮が入り込むため、病変範囲が不明確になることもある。
 
  • 鑑別
上皮内癌と扁平上皮内腫瘍との鑑別にPCsignやMSsignは有用である。
 
びらんや潰瘍では、辺縁に再生上皮による毛布様濃染像を伴う事が多い。
萎縮では、淡染を示すことが多い。
hyperkeratosisやparakeratosis、異所性胃粘膜は特徴的な通常観察所見から鑑別は容易である。
 
 
参考
胃と腸 所見用語集2017