消化器内科takoitaのメモ

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粘膜脱症候群の診断と治療

粘膜脱症候群:mucosal prolapse syndrome(MPS)

 

 
  • 病態
直腸の粘膜脱症候群は、従来は孤立性直腸潰瘍や深在嚢胞性大腸炎と呼ばれていた症候群。
直腸に潰瘍病変、隆起性病変あるいは平坦発赤病変をきたす。
病理組織学的には、粘膜固有層の平滑筋繊維の増殖などを特徴とする慢性疾患。
 
下部直腸前壁に後発する。40代までの女性に多い。
 
基礎疾患に、便秘が有り、排便時に必要以上に長時間いきむ習慣があると、直腸粘膜が脱出することによる慢性的な牽引力が粘膜に虚血性変化を起こし生じる。
 
  • 症状
出血、粘液分泌、肛門痛、排便困難、残便感など。
腹痛や下痢などの消化器症状は伴わない事が多い。
 
  • 診断
問診にて排便習慣の異常や排便時のいきみを聞き出す事が重要。
画像診断は、主に大腸内視鏡検査や大腸X線検査など。
 
肉眼型として、平坦型、隆起型、潰瘍型、深在嚢胞性大腸炎型が一般的。
内視鏡検査での生検で、粘膜固有筋層に平滑筋繊維と繊維組織の混在と増生と炎症細胞の浸潤が見られたら確定診断となる。
 
  • 治療
基本的に保存的治療がまず行われる。
排便コントロールが主で、食物線維の多い食事の指導や、いきみをなくすような整腸剤や下剤の投与が必要となる。
 
しかし、保存的な治療で改善しない場合は、外科的な手術も考慮される。
 
最近では、隆起型MPSに対して、病変の一括切除及び線維化を伴う瘢痕化の形成目的にESD行う場合もある。
 
 
参考
わかる!役立つ!消化管の画像診断