消化器内科takoitaのメモ

消化器内科医takoitaのメモ

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代謝性アシドーシスに対するメイロンでの補正

そもそもの酸塩基平衡異常の治療は原則として原因の鑑別と除去である。

しかし、pHが悪い場合(pH<7.15など)は対症療法が行われる場合もある。

 

メイロンは炭酸水素ナトリウムであり、HCO3-投与により代謝性アシドーシスを改善させる。

NaHCO3→Na+HCO3-(アルカリ)

 

  • 投与

pH<<7.2、HCO3-<12mEq/lで換気が保たれ、循環動態不安定あるいは急速に進行する病態で投与を考える。

 

必要量(mEq)は-BE×体重(kg)×0.2で算出

目標HCO3-は15mEq/l

7%溶液の投与量(ml)=-BE×体重(kg)×0.25

8.4%溶液の場合(ml)=-BE×体重(kg)×0.2

(添付文書から)

初回半量を静注または点滴静注

pHとBEを投与後に評価して,追加投与を検討する。

 

DKA(糖尿病ケトアシドーシス)では原則としてアシドーシスそのものの補正は行わない

治療により速やかにケトン体が消失し、治療後にアルカローシスを来すため。また、DKAによる高度アシデミアは心機能低下を引き起こさないらしい

 

  • 乳酸アシドーシス

乳酸アシドーシスは体の嫌気性代謝が進行して起こるものであり、メイロン投与によりHCO3-を上げると、同時に大量のCO2が産生されて呼吸性アシドーシスが進行し、臨床症状は更に増悪することに繋がりうるので注意。

ただし、組織低酸素による乳酸アシドーシスの進行が急激で致死的な状況になりうる場合、緊急避難的にメイロンを投与することは悪くない。

 

虚血でアシドーシスならばCPAのアシドーシスを治すのは、適切な酸素投与と換気と心マによる組織灌流の増量が主軸。

①メイロン投与は奇異性アシドーシスを来す

HCO3-+H→H2O+CO2によって生じた二酸化炭素が細胞内へ移行し細胞内アシドーシスが悪化する。また、適切な換気と血流が得られていないと呼吸性アシドーシスも合併しうる。

②冠灌流圧(CPP)を下げる

などから有害の可能性もある。

虚脱時間が短い場合、尿毒症による高K血症や薬物中毒など原因のがっきりしているもの、自己心拍再開後の循環の安定化には効果があるコアもしれない。

数分かけて投与し過剰補正は行わないように。

 

  • その他

Naの過量投与にならないように注意(Na1mEq/1ml)

 

 

参考

ICU実践ハンドブック

当直医マニュアル2018

教えて!ICU

https://www.marianna-kidney.com/wp/wp-content/uploads/2018/10/20181021.pdf

http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/180079_3929400A3238_1_04.pdf

メイロン静注8.4%(20mL管)/ メイロン静注8.4%(250mL袋)

講義 急性酸塩基平衡障害 - 救急一直線 特別ブログ Happy保存の法則