気管切開への移行・利点・欠点
挿管による人工呼吸器管理が長期に及んだ場合、気管切開術が必要となる。
- 気管切開の利点
苦痛の軽減(口腔内開放、経口摂取可)
口腔内衛生の改善(人工呼吸器関連肺炎の予防となる)
気管吸引が容易に(喀痰による閉塞のリスクを減らせる)
呼吸仕事量が減る
気道抵抗が少ない、死腔が少ない(管が短い)
交換が容易
- 欠点
早期合併症
誤挿入(0.1%)皮下組織への迷入など
低酸素血症
出血・感染(11%)
気胸(0.74%)
晩期合併症
気道狭窄(1-2%)
気管食道瘻
肉芽形成
気管孔の遺残
経口摂取までは相当な訓練が必要
特に術後4日以内は造設した穴が瘻孔化していないため、軟部組織の肉芽が盛り上がり穴を塞いでしまうため、チューブが皮下に迷入するため注意が必要
- 気管切開術を行うタイミング
早期(7-10日以内)に行ったほうが人工呼吸期間が短くなったとの報告はある。早期群と晩期群でVAPや離脱遅延やICU在室日数や死亡率に差がないとの報告もある。
しかし、早すぎては気切の必要性のないPtに対して気切を行う可能性もある。
まずは、下記の当初より気管切開術を考慮すべき病態でないかを考える。
当初より気管切開術を考慮すべき病態は下記
・顔面骨折(処置のため)
・口腔・鼻腔出血(止血処置目的に)
・口腔・鼻腔高度感染(清潔を保ち感染をコントロールするため)
・進行性の神経筋疾患・頸髄損傷・重症中毒(はじめから長期の人工呼吸器管理が予測される)
・解剖学的な上気道閉塞・狭窄(腫瘍・浮腫・異物・外傷・炎症etc)
人工呼吸器離脱の条件や予測因子を評価し、気管挿管第1週の5-7日目に次週に抜管できるかを考える。
無理と判断されれば気管切開術を次週に行うことを考慮する。
勿論場合による
参考
教えて!ICU