気管支喘息発作の初期対応
- 喘息発作の強度と治療ステップ
http://ryumachi.umin.jp/clinical_case/BA.html
※%PEFは%予測値または自己最良値を用いる。
ピークフローで測定できないほど辛そうなら大発作以上として扱う。
- 鑑別
・気管支喘息発作
・COPDの急性増悪
・心不全
・気胸
・肺炎
・肺癌
・無気肺
・肺水腫
- 対応チャート
重症度による。
まずは急ぐかどうかを判断する。
silent chestやチアノーゼ、CO2ナルコーシス(喘息発作では稀)などあれば相関・人工呼吸器の準備も。
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重篤と判断すれば早期にアドレナリン0.3mg筋注考慮(妊婦では使いにくい)
※アスピリン喘息では数時間以内にNSAIDs内服あればアドレナリン筋注が第一選択
※虚血性心疾患、閉塞隅角性緑内障、甲状腺機能亢進症では禁忌。高血圧存在下では血圧・心電図モニター下にて
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胸部Xp
もし気胸ならば早期にドレナージ
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ピークフロー測定
測定できない程なら大発作として扱う
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ネブライザーでSABA吸入。2吸入を20分ごと3セット。
メプチンエアー®2吸入20分あけて3セット or ベネトリン®0.3ml-0.5ml+生食5-10ml 20分あけて3セット
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SABA最終投与から1時間経過して症状軽快すれば帰宅可能。発作による再受診が予想されるならばプレドニン®5mgを4-5錠または0.5mg/kg/日を3-5日分持参させる。
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SABA効果的でない場合はステロイドの全身投与(ステロイドの全身投与に即効性はない)
ソル・メドロール®40-125mg+生食100mlをiv 以降、ソル・メドロール®40-80mg+生食100mlを4-6時間ごとに投与。
or
リンデロン®8mg+生食100mlをiv 以降、リンデロン®4-8mg+生食100mlを6時間毎に投与。
or
水溶性プレドニン®40-50mg+生食100mlを1日1回点滴
or
水溶性プレドニン®40-50mgを1日1回内服
※アスピリン喘息を疑う場合!
第二選択:ベタメタゾン(リンデロン®)やデキサメタゾン(デカドロン®)
投与期間は3-7日間または症状軽快まで。
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入院適応あれば入院
・中等度症状(%PEF 60-80%が目安)では2-4時間の治療で反応不十分(%PEF 70%以上を目安)または1-2時間の治療で反応なしの患者
・高度症状(%PEF 60%未満を目安)では1時間以内に治療に反応しない患者
・入院を必要としたような重症喘息発作の既往のある患者
・救急受診まで数日~1週間症状が持続していた患者
・肺炎・無気肺・気胸などの合併症のある患者
・精神障害や意思疎通不可の患者
・帰宅後、医療機関の受診が困難な患者
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早急に軽快が必要な患者はアミノフィリン(ネオフィリン®)やSAMA(吸入抗コリン薬)のアトロベント®、テルシガン®の投与も可
ネオフィリン®(250mg/A)6mg/kg+生食250mlの内、最初の半量を15分で、残り半量を45分で投与。
※テオフィリン内服患者は投与全体量を最大でも半分以下に
※副作用は頭痛、嘔気、動悸、期外収縮など。出現で中止。
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治療不応例にはマグネシウムも考慮。
硫酸Mg補正駅1mEq/ml 1A+生食100mlを20分で点滴。(パンパンになるので多少生食を抜いても良い)
※マグネゾールも同様の使い方できるが保険適応は子癇発作のみ
- 他
動脈血液ガス:PaCO2・HCO3-共に上昇なら気管支喘息の可能性あがる、共に低下なら心不全の可能性さがる
発作性の喘鳴+正常な胸部Xp≒気管支喘息
β刺激薬吸入で明らかな改善≒気管支喘息?左心不全による気管支痙攣(心臓喘息)も初期にはβ刺激薬吸入が効く事があるので注意!
参考
気管支喘息バイブル
http://ryumachi.umin.jp/clinical_case/BA.html
レクチャー
研修医当直御法度百例帖第二版