代謝性アシドーシスの鑑別
体内での酸の生産増加、酸の排泄障害、HCO3の喪失などによって起きる。
- AG開大性代謝性アシドーシス
①L-乳酸アシドーシス
ショック、低酸素血症、敗血症
(嫌気性代謝でH+と乳酸が過剰に産生されるため)
②D-乳酸アシドーシス
抗菌薬、短腸症候群
糖尿病性、アルコール性、飢餓
④外因性酸による薬物性アシドーシス
⑤腎不全
腎不全では腎でのH+排泄およびHCO3再吸収の減少に加えて硫酸塩・リン酸塩・尿酸塩・馬尿酸塩などが蓄積する
(腎不全の初期では正AG性の事も)
- 正AG性代謝性アシドーシス
①消化管からのHCO3喪失
下痢、イレウス管、膵外瘻
(腸液などはHCO3が多いため)
②腎からのHCO3喪失
尿細管性アシドーシス
③その他
多量の輸液負荷による希釈性、中心静脈栄養によるアミノ酸過剰、炭酸脱水酵素阻害薬、イオン交換樹脂投与
・血漿浸透圧ギャップ
原因不明のAG開大を認めた場合、実測値と計算値の血漿浸透圧ギャップも有用。
この値が10mOsm/Lを大幅に超えている場合、測定されていない浸透圧物質を考える。
参考
教えて!ICU
内科レジデントの鉄則 第3版