消化器内科takoitaのメモ

消化器内科医takoitaのメモ

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インフルエンザの色々

  • インフルエンザと白血球
インフルエンザでは通常WBC≦8000で考える。
WBC≧8000の場合、なんらかの合併症・併発症が起きている可能性も考える。
 
  • 迅速陽性で治療対象となる人
基本は発症から48時間以内
ただし、入院症例・重症で進行性の場合・妊婦の場合は例外であり抗ウイルス薬を投与する。
 
  • 妊婦
妊婦には重症化リスクや死亡リスクが高く治療必要。
タミフルが第1選択。リレンザも投与可能。妊娠全期間及び授乳期間中も投与可能。
ゾフルーザとイナビル、ラピアクタは安全性が確立されていない。
 
  • 抗ウイルス薬の種類
①宿主細胞内での脱殻を阻害する薬
・アマンタジン(シンメトレル®;経口薬)
抗Aだったが耐性出現し今は使用しない。
 
②核内RNA複製を阻害する薬
バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザ®;経口薬)
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ
経口単回投与が可能。
この前耐性菌が出た。妊婦への安全性が確立されていない。今後の動向を見たほうが無難か。
ファビピラビル(アビガン®)
ポリメラーゼ阻害剤
新型インフルエンザの出現などで国が使用可能と判断したときのみ投与可能。
副作用に催奇形性があり、妊婦には禁忌。
 
③感染細胞からの遊離を阻害する薬
オセルタミビル(タミフル®;経口薬)
NA阻害剤
内服5日間。
腎機能に応じた用量調節が必要。
ラニナミビル(イナビル®;吸入薬)
NA阻害剤
吸入単回投与(2吸入)。
小児や認知症など吸入技術に問題のある患者には使えない。咳嗽の激しい患者も吸入薬は不適。
ザナミビル(リレンザ®;吸入薬)
NA阻害剤。
5日間吸入。
実は吸入で気管支痙攣を誘発する可能性があり、喘息や慢性閉塞性肺疾患などの慢性呼吸器疾患のある患者には吸入前に気管支拡張薬の吸入薬を使用するように指導する必要がある。
また、強い乳製品アレルギーのある患者には注意が必要。
ペラミビル(ラピアクタ®;注射剤)
NA阻害剤
唯一の点滴製剤。基本的に1回の投与。
重症が予想される症例には倍量投与、連日反復投与が可能(ただし3日以上連続使用の知見は少ない)。
効果はタミフルと同等、内服困難例や腸管吸収低下例に限定する。
 
  • 予防投与
予防投与は自費診療となる。
適応はインフルエンザを発症した患者の同居中の家族のハイリスクグループ(高齢者や慢性疾患を有する患者など)などか?
 
参考
レクチャー
レジデントノート2019vol20no15