好酸球性食道炎の診断と治療
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症状
典型的な症状として、食事のつかえ感、嚥下困難がある。
他に、胸やけや呑酸、心窩部痛。
食道に狭窄をきたすと食事が狭窄部に詰まってしまう状態(food impaction)を呈することがある。日本ではまれ。
これらは好酸球性食道炎に伴う食道運動障害による。
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診断
・診断基準
①:症状(嚥下障害、つかえ感等)を有する。
②:食道粘膜の生検で上皮内に15/HPF以上の好酸球が存在している。(生検は食道内の数か所を行うことが望ましい)
③:内視鏡検査で食道内に白斑、縦走溝、気管様狭窄を認める。
⑤:末梢血中に好酸球増多を認める。
⑥:男性
⑦:プロトンポンプ阻害薬に対する反応が不良である。
①と②を満たすものを対象とする。③~⑦は参考項目。
典型的な内視鏡所見は縦走溝、リング状変化、白色滲出物があがられ、9割以上で認める。
生検は1箇所のみでは偽陰性となることがあり、複数箇所からの生検が必要。
5個以上で感度90%以上にできるが、5個は中々難しく基準では複数個となっている。
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内視鏡所見
①縦走溝(longitudinal furrows)
食道の長軸方向に走る溝の所見。
逆流性食道炎のGradeBなどで認める赤い直線状のmucosal breakとは異なり、亀裂状や敷石状と表現されるような、肥厚した食道壁に認められる白色のギザギザした溝として認識される事が多い。
逆流性食道炎を合併していればmucosal breakの併存もありうる。
②輪状溝(esophageal rings)
食道の短軸方向に走る同心円状の溝やひだ。
高度のものは気管様と表現されることもある。
蠕動による収縮輪とは異なり、蠕動消失後も認識できる。
EoEを疑うきっかけとなることが多いが、軽度のものは逆流性食道炎でも認めることもある。
③白斑、白色滲出物
食道上皮に付着しているように見える顆粒状や粘液状の白色調の滲出物。
また、粘液状に認められるものでは剥離性食道炎との鑑別が問題となり、内服薬の確認が参考となる。
鑑別が困難ならば生検が必要。
④粘膜浮腫、血管透見低下
粘膜の白濁、血管透見の低下・消失として認識される。
逆流性食道炎のGradeMと比較して、白濁の程度は強い事は多く、粘膜自体が肥厚している印象も受ける。
また、EoEなら全食道で認められうるが、下部に限局している症例では区別できないこともある。
NBIで浮腫を起こした粘膜はベージュ色に描出され認識しやすくなることもある。
⑤内腔狭細化
炎症と粘膜浮腫が高度になると食道内腔の狭細化が認められる事がある。
長期の炎症による粘膜下層の繊維化による。
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治療
・PPI投与
・ステロイド嚥下療法
これを鼻腔内に噴霧し、唾液とともに嚥下する。
喘息に用いられる吸入薬を嚥下する方法が一般的。
しっかり息を止めて速やかに嚥下する。
嚥下後は合併症予防のため口腔内と咽頭をよくうがいする、30-60分間は飲食を禁止する。
フルチカゾン880~1760μg/日、ブデソニド1~4mg/日を1日2回に分けて投与が欧米では推奨される。
・ステロイド全身投与
重症例ではステロイド全身投与が考慮される。
寛解率は高いが、副作用の発現も多い。
ステロイド嚥下療法を含めた他の治療無効例や嚥下困難など自覚症状が強く体重減少を伴う重症例、入院が必要な症例に限定されるべきである。
・除去食治療
EoEは食事抗原によるアレルギー反応が中心的役割を担っている事から、特定の食物除去が治療法としてあげられる。
欧米では6種類の抗原を除去する食事療法(six food elimination diet;SFED)が用いられている。
しかし、極めて労力と時間がかかり、特に成人で施行が難しい。
最近では4種除去食(four food elimination diet;FFED)でも54%に有効との報告もある。
日本では成人EoEに対する除去食治療は殆ど行われていないが、特定のアレルゲンが同定できれば根本的な治療法として有用と考えられる。
食物特異的IgE抗体価との関連性は低い。
・内視鏡的バルーン拡張術
食道狭窄が進行して食事通過に影響がある場合は、内視鏡下のバルーン拡張術が行われる。
参考
難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp/entry/3935)
消化器内科グリーンノート