消化器内科takoitaのメモ

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食道カンジダ症の診断と治療

  • 病態
HIV感染患者に最も多く、癌化学療法患者、ステロイド長期投与患者などの免疫不全患者がハイリスクグループとなる。

 

 
原因はC.albicansの頻度が高い。
HIV感染患者では単独感染あるいは他のカンジダ族との混合感染の場合がある。
 
 
  • 症状
嚥下困難感、嚥下時痛、胸やけ、悪心などが見られることがある。
ただし、半数程度の症例では消化器症状がない。そのため無症状でも否定できない。
重症例では食道狭窄、出血瘻孔を呈することもある。
 
口腔咽頭カンジダ症を伴う患者が胸部不快感や嚥下時痛を訴える場合は、食道カンジダ症を疑う。
 
 
  • 診断
肉眼または内視鏡にてカンジダの白苔を確認できれば粘膜カンジダ症と診断できる。
 
白苔は灰白色~乳白色で、周囲の粘膜には発赤やびらんを伴う。
食道カンジダ症の白苔は水洗によって剥離できないことが特徴とされる。
軽症であれば点状に白苔が散財するのみであるが、重症例では白苔は癒合して線状・塊状となる。
食道粘膜全周を覆う「white carpet」状の外観を呈することもある。
 
なお、カンジダは消化管に常在し、正常粘膜からも培養されるため、真菌学的・病理学的検査は必須ではないが、その他の疾患と鑑別が難しい場合は考慮される。
また、真菌学的検査により菌種を同定しておくことは、抗真菌薬の選択に有意義と考えられる。
 
β-Dグルカン、カンジダマンナン抗原は診断に有用ではない。
 
・Kodsi分類
Grade1:2mm以下の白苔が少数みられる。
Grade2:2mmを超える白苔がみられ、数も多い。
Grade3:癒合し、線状・塊状に隆起した白苔がみられる。
Grade4:白苔がほぼ全周を覆い、びらんや狭窄がみられる。
 
食道カンジダ症の重症度分類。
ただし、Grade3や4でも無症状のこともあり、臨床症状とは必ずしも一致しない。
 
消化器基本画像集
 
 
  • 治療
全身抗真菌薬療法が必要。
再発例には抑制維持療法としてFLCZ100-200mg/回を週3回が推奨される。
AIDS患者には再発予防のために高レトロウイルス療法を行う。
 
第一選択薬
FLCZ200-400mg1日1回経口投与もしくはF-FLCZ400mg1日1回静注を14-21日間
ITCZ内用液20mL1日1回経口投与を14~21日間
 
代替薬
MCFG150mg1日1回点滴静注を14~21日間
CPFG50mg1日1回点滴静注を14~21日間
VRCZ1回200mg1日2回経口投与(保健適応)もしくは1回3~4mg/kg1日2回点滴静注を14-21日間(保険適応外)
AMPH-B 0.5-1.0mg/kg1日1回点滴静注を14~21日間
L-AMB2.5-5.0 mg/kg1日1回点滴静注を14~21日間(保健適応外)
ITCZカプセル剤200mg1日1回経口投与を14~21日間
 
 
参考
日本医真菌学会侵襲性カンジダ症の診断・治療ガイドライン
症例で身につける 食道・胃腫瘍診断