消化器内科takoitaのメモ

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吻合部ポリープ状肥厚性胃炎について

術後胃

吻合部ポリープ状肥厚性胃炎:stomal polypoid hypertrophic gastritis;SPHG

 

  • 概念

特異な慢性炎症性胃粘膜病変で胆汁などの逆流により生じる組織学的変化と考えられている。

胃腸吻合部の胃側に発生する無茎性ポリープ状の粘膜隆起性の反応性病変。

SPHGの成因は、化学的刺激として胆汁酸・膵液を含む十二指腸液の残胃への逆流が重要な因子と考えられている。

その理由として、本病変がBillrothII法のような十二指腸液の逆流が強いと考えられる術式の例に多いこと、十二指腸液に抵抗性のある幽門部領域に吻合された症例にほとんど認められず、逆にその影響を受けやすい体部・噴門部領域に吻合された胃粘膜、なかでも胃底腺の豊富な大彎側および前後壁に多く発生することなどが挙げられている。

前癌病変としての側面が重要。

SPHGの表層粘膜には幼弱な上皮が多く、何らかの発癌因子が作用すると癌化が起こり易いと予想されている。

なので、B-Ⅱ術後で長期間経過症例で注意深く観察が必要。

 

①一般的にはイモ虫状広基性ポリープと表現される特徴的な肉眼像を呈する。

②正常粘膜ひだへと漸次移行を示す

③隆起部の表面に均一に腫大した胃小区を認める

以上が特徴的。

 

  • 病理

組織学的な発症の過程は、

初期には

①幼弱胃腺窩上皮の過形成による胃小窩の延長

②既存の胃底腺の萎縮

③偽幽門腺の増生と嚢胞化が起こり

次いで

④粘膜筋板の離開

⑤偽幽門腺の粘膜筋板内や粘膜下層への侵入と嚢胞形成により粘膜の肥厚が起こる

とされている

 

 

参考

内視鏡診断マル秘ノート

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/80/4/80_714/_pdf