膵・胆管合流異常症の病態と診断
- 病態
膵・胆管合流異常は解剖学的に膵管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の形成異常。
共通管が長く、十二指腸乳頭部括約筋(Oddi括約筋)作用が膵胆管合流部に及ばないため、膵液と胆汁が相互に逆流することにより、胆道ないし膵にさまざまな病態を引き起こすとともに、癌合併が重要な問題となる。
膵液の胆道内への逆流(膵液胆道逆流現象)は高率に胆道癌を発生させ、胆汁の膵管内への逆流(胆汁膵管逆流現象)は膵炎を惹起させることがある。
- 分類
胆管拡張を伴う例(先天性胆道拡張症)と胆管に拡張を認めない例(胆管非拡張型)がある。
境界は成人では総胆管径10mmを用いることが多い。
- 診断
ERCPやPTCDや術中胆道造影などで異常に長い共通管が確認される、または異常な形で合流すること。
MRCPやMD-CTやEUSなどによっても診断されうる。診断基準の改訂がまたれる。
補助診断として、胆汁中の膵酵素の異常高値があげられる。
ただし、潜在的膵液胆道逆流や膵胆管高位合流などでもみられる。
- 症状
無症状の事も多い。
腹痛・嘔吐・黄疸・発熱などがでる事もある。
- 検査
血液検査は多くの場合、無症状時は異常がなく、有症状時にAMY・ビリルビン・胆道系酵素上昇などがみられる。
腹部エコーはスクリーニングに有用である。
胆管非拡張型膵・胆管合流異常の場合は、胆嚢壁内側の低エコー層の肥厚が診断の契機となる。
スクリーニングで疑った場合は、MRCP・ERCPなどが追加される。
- 治療
胆道癌の危険因子であり、確定診断後は症状の有無に関わらず積極的な手術適応であり、早期の手術が推奨される。
胆管拡張型には肝外胆管切除+胆道再建(分流手術)を,胆管非拡張型には胆囊摘出術が推奨される。
参考
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tando/26/5/26_678/_pdf