吐血と下血
- 吐血
赤色の新鮮血と、胃で消化されたコーヒー残渣様物がある
出血して数十分〜数時間経過したものは赤色ではなくコーヒー残渣様となる
通常は下部消化管出血では吐血することはない
喀血との明確な区別が必要
また、NGtubeの留置は活動性出血などの確認もでき有用
- 下血
赤色か黒色かを見極める
黒色便は上部消化管出血のサインで少なくとも100-200mlの出血があった事を意味する。しかし、小腸や右側結腸からの出血でも黒色便となりうる
上部消化管出血でも出血量が多いと、消化されないまま下血となり赤色便となりうるため注意
また、鉄剤やビスマス製剤でも黒色便となるため注意
- 病歴聴取・診察
口からの出血を見た際は口腔内・咽喉頭・鼻腔からの出血にも注意
喀血との鑑別は
①吐下血ではコーヒー残渣様や凝結塊の訴えや腹痛・下血
②喀血では赤色の新鮮血で泡沫様、随伴する咳嗽や呼吸苦、肺癌・肺結核・気管支拡張症などの喀血を起こしうる基礎疾患
以上、2点がポイント
Mallory-Weiss症候群は、赤色の吐血、吐血前に嘔吐、特に飲酒後で疑う
虚血性大腸炎やSMA閉塞症は、突発する強い腹痛・心房細動・下血で疑う
感染性腸炎は、悪心・嘔吐、腹痛、発熱で疑う
潰瘍性大腸炎は、基本的に慢性疾患であり初診でいきなり激しい下血は稀
消化性潰瘍は、食事で変化する心窩部痛が典型。胃潰瘍は食後、十二指腸潰瘍は空腹時に疼痛
食道炎は、嚥下時痛を伴う事が多い
痔出血は、肛門異物感を伴う事が多い
参考
診察エッセンシャルズ新訂版