葉酸欠乏症の病態と治療
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病態
そのため、欠乏するとDNA合成障害が起こる。
巨赤芽球性貧血の本態は、DNA合成障害により生じた異常血球が骨髄内で破壊される無効造血である。
汎血球減少、LDH著増に加え、巨大好中球や過分葉好中球などの形態異常をきたし、骨髄では成熟の悪い大型の核を持つ赤芽球(巨赤芽球性変化)も出現する。
そのため、骨髄異形成症候群や急性白血病と間違えられることもある。
葉酸欠乏の原因としては、アルコール、摂取不足、吸収障害、需要増大(授乳、溶血など)、薬剤などがあげられる。
葉酸は主に肝臓に約7.5mg程度蓄えられているが、健常人でも便中に1日約200㎍排泄されるため、供給が途絶えれば約2~3か月で枯渇する。
そのため、吸収障害で葉酸欠乏となることが、広範な部位で吸収障害をきたす疾患に限られるため、多くはない。
実際にはアルコール+摂取不足など複数の病因が関係していることが多い。
ちなみに、鉄欠乏も合併すると骨髄中の巨赤芽球性変化は目立たなくなり、MCVも上昇しないことがある。
鉄欠乏マーカーのFe、TIBC、フェリチンも典型的な値とならず、葉酸補充で安定した後に検査値が正味の値となる。
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検査値
しかし、2.5~5.0ng/mLでも葉酸欠乏の症状を呈することもある。
溶血で血球中の葉酸が放出され見かけ上高値となることもありえる。
大酒家は健常人と比較して有意に血清ビタミンB12が見かけ上高値となるため注意。
真のビタミンB12欠乏があっても測定値が低値を示さない例もある。
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治療
しかし、前述のとおりビタミンB12は測定値上は低値とならない場合もある。
参考
血液診療をスッキリまとめました