消化器内科takoitaのメモ

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ビタミンB12欠乏症の病態と治療

VitB12欠乏症
 
  • 病態
ビタミンB12欠乏症は、ほとんどの場合吸収の異常である。ビタミンB12の摂取不足は極端な菜食主義者でない限りまず起きない。

 

 
吸収異常は以下の3つの場合で起きる。
①吸収に必要な内因子を出す胃の異常
ビタミンB12を吸収する回腸末端の異常
③内因子に対する自己抗体(悪性貧血)
 
頻度としては③が最多で2/3を占める。残り1/3の大部分が手術での胃摘出術などの胃の異常である。
 
  • 治療
理論的には吸収障害に対して内服治療は効率が悪く、従来は筋肉内注射のみが補充療法として有効と考えられていた。
しかし、吸収障害があってもビタミンB12を大量に経口摂取すると1~2%は吸収される。
1日の必要量は2.0㎍とされており、そのうち消化管から体内へ吸収されるのは1.0㎍である。
欠乏症の治療であれば1日最低600㎍以上、通常は1日1000㎍以上の摂取で筋肉内注射と同等の血中濃度が得られるといわれている。
 
筋肉内注射は、疼痛及び筋肉内出血のリスクがある。出血性疾患を合併している場合や、抗凝固薬や抗血小板薬を内服している場合は、内服治療のほうが好ましい。
内服は毎日内服が必要であり、筋肉内注射は定期でよく服薬アドヒアランスも考慮する。
 
 
参考
血液診療をスッキリまとめました