気管切開と経口摂取
人工呼吸器から離脱して経口摂取を試みる際。
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気管切開や気管カニューレの嚥下への影響
①喉頭挙上の障害
喉頭挙上が制限されると嚥下障害に繋がる。
②声門下圧の低下
気管切開孔から圧が逃げるために声門下圧が低下する。誤嚥に対して不利。
③喉頭や気管の感覚低下
慢性的に唾液が貯留するため喉頭感覚低下が起きる。
気管内に常に異物があるため気管の感覚も低下する。
④喀出への影響
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気管切開孔の閉鎖と食事
嚥下障害の併存や絶食期間中に嚥下機能が低下している可能性もある。
理想的には食事を開始して誤嚥性肺炎に罹患しない事を確認してから気管切開孔を閉鎖する事が理想的。
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気管切開孔閉鎖の手順
・カフ付きカニューレ
人工呼吸器にて陽圧換気をしている際はカフ付きカニューレで管理する。
・カフなしカニューレ
人工呼吸器を離脱できたらカフなしカニューレへの変更を検討する。
タイミングは唾液吸引の頻度や嚥下反射があるかどうか。
交換する際は喉頭ファイバーにて確認すると安心。
交換後は、唾液を嚥下できているか、喀出できるか、発熱しないかを1週間ほど観察する。
問題なければ経口摂取を考える。
・レティナ
カフなしでも経口摂取開始する事もあるが、より慎重に対応する場合はレティナに変更してから経口摂取を開始する。
レティナは気管壁への負担や甲状軟骨の生理的な動きを妨げる度合いが一番少なく、嚥下への影響がより少ない。
また、ワンウェイバルブにより呼気が気管切開孔ではなく声門に行くため、声門下圧の上昇や喉頭感覚の改善、喀出力の向上が期待できる。
なのでカフなしカニューレやレティナで経口摂取する場合は可能な限りワンウェイバルブの装着を。
・気管切開孔の閉鎖
経口摂取を開始して2〜3週間問題なければ気管切開孔の閉鎖を行う。
ただし、原因疾患によっては閉鎖しないこともある。
参考
嚥下障害、診られますか?