消化器内科takoitaのメモ

消化器内科医takoitaのメモ

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気管カニューレの違い

 
違いは以下の4点で考える。
・複管or単管
・カフ付きorカフなし
・側孔付きor側孔なし
・レティナ

 

  • 複管or単管
複管は内筒と外筒に分かれる。
内筒はロック式であり、外筒をそのままに内筒を抜くことでカニューレ内部の洗浄が出来る。
気管切開をしたばかりで瘻孔が形成されておらず外筒を留置したままにしたい場合や、気管切開による出血、痰や分泌物が多く汚れたり内腔が狭窄してしまう場合に使用する。
ただし、内筒があるため空気の通り道は狭くなる。また、痰が詰まりやすいものもある。
 
術後や分泌物の多い状態の患者には気軽に洗浄が出来るように複管のカニューレ挿入が推奨される。
分泌物がない状態になっていれば空気の通り道の大きな単管を使用する。
 
  • カフ付きorカフなし
カフの意味は①人工呼吸器接続時の空気のリーク予防②カニューレの固定③気管内への垂れ込み予防、などがある。
カフ圧は20-30mmHgが一般的。嚥下時は90mmHgの圧があり、しっかり嚥下するとカフは簡単に虚脱する。
また、カフやカニューレの圧迫にて気管粘膜の血流が阻害され潰瘍ができたり食道や血管に瘻孔が出来てしまう事がある。
 
  • 側孔付きor側孔なし
側孔は声を出すためのもの(スピーチカニューレ)。
唾液の垂れ込みがなく上気道の狭窄が解除されれば側孔付きに変更出来る。
 
唾液の垂れ込みが多い場合は変更してはならない。
首が太く皮膚から気管までの距離が長い場合は側孔の位置が気管内部にしっかりと留まらず肉芽を形成しうる。側孔付きを使用している場合は必ず肉げが出来ていないかを確認する。
 
発声用バルブ(ワンウェイバルブ)という一方向性のキャップがありそれを装着する事で発声が出来るようになる。
ただし、一方向弁なので上気道狭窄の患者は息を吐けなくなる。
 
  • レティナ
気管壁への負担や甲状軟骨の生理的な動きを妨げる度合いの一番少ないもの。
瘻孔が出来た段階で皮膚から気管までの長さを測り、太さと長さを合わせたレティナを挿入する。
 
 
参考
嚥下障害、診られますか?