血小板濃厚液投与の基準
血小板濃厚液は採血後4日間しか保存できない。
常時必要量が病院にあるとは限らず、血小板も採血しなければ測定できない。
無駄に使えないが必要な際は投与しなければ生死に関わる。
個々の症例によって必要性は考慮しなければならないが、ガイドラインによる基準を示す。
- 大まかな基準
以下の通り
5万/μL以上:血小板減少による重篤な出血を認めることはなく、血小板輸血は必要ない。
2~5万/μL:時に出血傾向を認めることがあり、止血困難な場合には血小板輸血が必要。
1~2万/μL:時に重篤な出血をみることがあり,血小板輸血が必要となる場合がある。
1万/μL未満:しばしば重篤な出血をみることがあるため,血小板輸血を必要とする。
※慢性経過の血小板減少症(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群など)で他に出血傾向を来す合併症がなく血小板数安定している場合、血小板数が5千~1万/μLでも重篤な出血を来すことはまれであり、血小板輸血は極力避ける。
- 活動性出血の有無
活動性出血とは、主に中枢神経系・肺・消化管・網膜の出血のこと。
特に頭蓋内の出血の有無は生命予後に大きく関わり重要。
活動性出血がある時
頭蓋内出血・頭部外傷後:血小板数10万/μL以上の維持が目安
その他の活動性出血時:血小板数5万/μL以上に維持が目安
活動性出血がない時
出血傾向がある時:血小板数2万/μL以上
出血傾向がない時:血小板数1万/μL以上
出血傾向とは
①粘膜出血:鼻出血、歯肉出血、口腔内出血、眼球結膜出血、消化管出血、女性性器出血、血尿
②紫斑:点状出血と斑状出血(筋肉・関節内出血はどっちかというと凝固異常)
- 大量輸血時のPC投与
急速失血により24時間以内に循環血液量1~2倍量以上の大量輸血が行われた際、止血困難な出血症状と血小板減少を認めた場合に適応となる。
赤血球濃厚液の血小板は24時間でなくなるため大量輸血すると希釈性に血小板減少を起こすらしい。
- 外科手術の術前・侵襲的処置の施行前
複雑な心臓大血管手術で,長時間の人工心肺使用例,低体温体外循環を用いた手術:血小板5万/μL~10万/μLになるように
臨床的に血小板機能異常が強く疑われ出血が持続する場合:血小板10万/μL以上も考慮
頭蓋内手術:局所での止血が困難な特殊な領域の手術では10万/μL以上が望ましい。
腰椎穿刺:血小板5万/μL以上
中心静脈カテーテル挿入時:血小板数2万/μL以上を目指す
抜歯:血小板1万/μL以上を目安にPC輸血行ってもよい
骨髄穿刺など局所止血が容易な手技:通常血小板輸血を予防的に行う必要はない。
(硬膜外腔穿刺,消化器内視鏡や気管支鏡による生検,肝臓等の臓器針生検については,エビデンスはほとんどないって血液製剤の使用指針には書いてある)
参考
教えて!ICU
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000161115.pdf