抗菌薬の相互作用
案外忘れてしまいがちなため、覚書として
アミノ酸含有の輸液と配合されると力価が低下する。(1時間後に70%以下まで力価低下する報告あるらしい)
使用時は別ルートでの投与や抗菌薬投与中はアミノ酸含有輸液のの一時中止などが必要。
アミノ酸含有輸液は以下の通り
侵襲時用アミノ酸輸液:エルネオパ輸液、ネオパレン輸液、アミノトリパ輸液、ミキシッド輸液、フルカリック輸液、アミパレン輸液、アミゼットB輸液、アミニック輸液
総合アミノ酸輸液:ピーエヌツイン輸液、モリプロンF輸液、プロテアミン12注射液
肝不全用アミノ酸輸液:アミノレバン点滴静注、モリヘパミン輸液
- セフトリアキソン注(CTRX)とCa含有輸液
同一経路で同時に投与した場合、肺や腎臓にセフトリアキソンの結晶が生じる可能性がある。新生児で死亡報告があるとのこと。
Ca含有輸液は普遍的なため注意が必要。ちなみにメイロンも同様に沈殿を生じうるらしい。
Ca含有輸液は以下が代表例
ソリューゲンF・G、フィジオ35・140、ビーフリードetc
Ca非含有輸液は以下が代表例
生理食塩水、ブドウ糖液、ソルデム1・3、etc
- 抗菌薬・抗真菌薬とワーファリン
抗菌薬が腸内細菌叢に影響を与えビタミンKの産生を低下させるため、PT-INRを延長させる可能性がある。
また、CYP阻害作用をもつアゾール系抗真菌薬のホスフルコナゾール(プロジフ®)やボリコナゾール(ブイフェンド®)などでワーファリンの作用が増強される。
DOAC/NOACに移行しつつあるがワーファリンを内服している患者も未だ多くいるため注意。
- 一部の経口抗菌薬と金属イオン(Mg/Fe製剤)
金属イオンとキレートを作成し腸管での吸収が低下する。
以下、金属イオンとの同時内服を避けたい経口抗菌薬
ニューキノロン系:レボフロキサシン、モキシフロキサシン
セフェム系:セフジニル
テトラサイクリン系:ミノサイクリン、ドキシサイクリン
マクロライド系は軽度のKチャネル抑制作用がある
単剤で問題になるほどQT延長することはまれだが、不整脈の既往のある患者・電解質異常・QT延長をおこす薬剤との併用には注意が必要。
マクロライド系(クラリスロマイシン、エリスロマイシンetc)は処方されているのを目にすることも多く注意が必要。
QT延長を起こす他の薬剤は以下の通り
向精神薬:ハロペリドール(セレネース®)、クロルプロマジンetc
参考
研修医勉強会
Chapter3 静脈栄養 2.9 アミノ酸製剤の種類と特徴|PDNレクチャー