体液量の変化
健常者で失われる体液は、尿・便・不感蒸排泄が主となる
入る量は、経口摂取・体内での代謝水・輸液となる
- 不感蒸泄
成人では【15ml×体重kg】で概算される
気温30度以上では更に増える
不感蒸泄の1/3は肺から、2/3は皮膚から喪失する
- 下痢の場合
正常便は含まれる電解質は僅か
下痢の成分は
Na 25-50mEq/l、K 35-60mEq/l、Cl 20-40mEq/l
K濃度は血清濃度(4mEq/l)より非常に高い
また、下痢はアルカリ性でありHCO3-の喪失も多い
下痢が多い場合の問題点は
①体液量の大幅な減少
②体液量減少によるADH過剰分泌による低Na血症
③Kの喪失による低K血症
④HCO3-の喪失による高Cl性代謝性アシドーシス
下痢を多分に認める患者にKフリーの輸液を行わないように注意
- 嘔吐の場合
胃液の成分は
Na 60mEq/l、K 10mEq/l、Cl 100mEq/l
H+ 100mEq/l程喪失もする
嘔吐が多い場合の問題点は
①体液量の減少
②低Cl血症
③代謝性アルカローシス
④低K血症
輸液は生食を中心としたものとなる
乳酸又は酢酸加リンゲルではHCO3-が産生されて代謝性アルカローシスが改善されにくいため注意
- 発汗がある場合
発汗自体は健常者でもあるが水分やナトリウムの喪失量の把握は非常に難しいため、健常者では考えない
発熱が加われば水分と電解質を多分に喪失するため考慮に入れる必要もあるかもしれない
発汗の成分は
Na 40-60mEq/l、K 4-5mEq/l、Cl 30-50mEq/l、Mg 1.5-5.0mEq/l
といわれたりもするが人によって違う
トライアンドエラーでの調節も必要
参考
輸液ができる、好きになる