消化器内科takoitaのメモ

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肛門周囲膿瘍・瘻孔の診断と治療

 
  • 病態
肛門周囲膿瘍は大部分が肛門陰窩に開口する肛門腺に細菌が侵入することで膿瘍を形成したものである。

 

稀に隣接臓器の炎症性疾患や直腸・肛門管癌などに続発するものもある。
 
膿瘍の自壊または切開により、肛門周囲皮膚や肛門管に瘻孔を形成すると痔瘻となる。
 
リスクファクターは、Crohn病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や肛門性交、ステロイドの服用などによる免疫力の低下があげられる。
慢性的に経過した痔瘻から痔瘻癌が発生することもある。
  • 症状
疼痛、特に排便時痛。
肛門部分の腫れや分泌物を伴うことっもある。
高位や深部に膿瘍を形成した場合は、皮膚の局所所見よりも全身倦怠感や熱発などの全身症状が強いこともある。
 
  • 診断
問診・触診・肛門鏡で診断可能。
直腸診では圧痛を認めたり硬結を触知したりする。
 
CTは治療法を決定する上で、解剖学的位置や瘻孔・膿瘍の程度を簡便に評価でき、治療法の決定に有効。
MRIは、脂肪抑制T2画像が浮腫や体液貯留腔の評価に有効。拡散強調画像は診断の確信度を上昇させる。造影T1強調像は炎症の程度が評価でき、痔瘻もより明瞭化する。
造影MRIは肛門周囲膿瘍の感度96%、痔瘻の感度100%。
 
  • 治療
抗生剤投与や排膿切開
成人の多くは痔瘻に移行するため自然治癒しにくい。
症状に応じて切開解放術、括約筋温存術、シートン法などを行う。
 
 
参考
わかる!役立つ!消化管の画像診断