消化器内科takoitaのメモ

消化器内科医takoitaのメモ

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ノルアドレナリン抵抗性の難治性ショックに対して

敗血症性ショックや出血性ショックなどで、十分な輸液とノルアドレナリンの投与をしても血圧が上昇しないようなノルアドレナリン抵抗性の難治性ショックを経験することがある。

 

末梢血管の収縮不全、つまり血管平滑筋の収縮不全および血管収縮薬剤に対する反応性低下による。

血管性ショック(vasodilatory shock)、vasoplegiaという。

 

①血管平滑筋細胞膜のK-ATPチャネルの活性化

②NO合成の活性化

バソプレシンの枯渇による欠乏

上記の病態によるものらしい。

また、敗血症性ショックなどでは副腎不全のような状態になるらしい。

そこでバソプレシンステロイドのホルモン補充としての投与が考慮される。

 

  • 使い方

 

バソプレシン

腎のV2受容体に作用すると水の再吸収を調整するが、血管のV1受容体に作用すると末梢血管を収縮させ血圧を上昇させる作用がある。敗血症性ショックや出血性ショック時には血管内のバソプレシン濃度は上昇しているが、次第に枯渇して血中濃度が低下してくる。そのため補充のために投与が必要となってくる。

ノルアドレナリンがどれくらいから併用するのかははっきりとした基準がない。0.04U以上の高用量投与は腎や肝や腸管などの臓器虚血に関連してくるため注意。

ノルアドレナリンが15μg/min(約0.3γ)を超えた時点で併用を考慮してみる。

 

投与例

バソプレシン(ピトレシン®)2A(1A=20U/1ml)+生食38mlで合計40ml(1U/1ml)に希釈

0.6~1.8ml/h (0.01~0.03U/min)で開始

これ多い投与量は用いない

上記投与により血圧が改善した場合はノルアドレナリンの投与量を減少させていく。

 

 

ステロイド

敗血症性ショックにおいて十分なノルアドレナリンを投与を行なっても血行動態が安定しない場合のみ投与を考慮

決してルーチンで投与するようなものではないらしい。

ヒドロコルチゾンを200mg/日にて投与。ボーラス投与で著しい血糖上昇を認めることがあり、血糖コントロールに難渋している症例では持続投与で。

 

投与例

ヒドロコルチゾン50mg+生食50mlを6時間おきに4回/日

又は

ヒドロコルチゾン200mg+生食50mlを2ml/hで24時間で投与

 

 

参考

レジデントノート2015年3月号 救急・ICUで循環作動薬を使いこなそう

日本大学医学部 救急医学系 救急集中治療医学分野