レジオネラ肺炎の診断の一助
レジオネラの尿中抗原は迅速性に優れるがレジオネラの血清型1以外には感度が低い。重症型では血清型1が大部分を占めるといわれ、日本でのレジオネラ肺炎の44–80%は血清型1型と言われる。
血清型1の尿中抗原の感度は96%、特異度93%
血清型1以外では感度14%、特異度45%
レジオネラ肺炎を強く疑う場合は喀痰のPCR、特殊染色・培養、発症1週間後の尿中抗原の再検(感度のピークは発症5–10日後のため)が望ましい
- レジオネラ肺炎の特徴
呼吸器症状だけでなく、頭痛・意識障害・下痢などの症状を認めることも20–30%の症例で認める
血液検査では肝障害を認めることも多いが特異度は高くない(AST上昇の特異度は59%)
高CK血症(232以上)の感度23%特異度91%
低ナトリウム血症の感度27%特異度94%
であり上記ふたつは特異度が高く認めた場合はレジオネラ肺炎を疑う
- WUHスコアリングを参考までに
レジオネラ肺炎を示唆する所見
中枢神経系
頭痛(+1)、意識障害・脳症(+2)、傾眠(+3)
呼吸器系
膿性痰(+2)
消化器系
軟便/下痢(+3)
下痢を伴わない腹痛(+5)
下痢を伴う腹痛(+5)
その他
比較的徐脈(+5)
βラクタム系が無効(+5)
急性腎不全(+5)
検査所見
低ナトリウム血症(+1)
低リン血症(+4)
トランスアミナーゼ上昇(+4)
ビリルビン上昇(+2)
クレアチニン上昇(+1)
顕微鏡的血尿(+2)
レジオネラの可能性が下がる所見
呼吸器系
耳痛(–3)
嗄声(–3)
乾性咳嗽/咽頭痛(–3)
少量〜中等量の血痰(–1)
胸膜痛(–2)
検査所見
寒冷凝集素上昇(–3)
合計が
10点以上で 強く疑う
5〜9点で 可能性がある
5点未満で 可能性が低い
参考
レジデントノート2018年2月号 肺炎を通してあなたの診療を見直そう
ジェネラリストのための内科診断リファレンス